僕達家族は、2年前に祖母を亡くして、祖母の葬儀を家族葬で行いました。ある日、祖母は昨日まで元気だったのに心筋梗塞で亡くなってしまいました。同じ屋根の下で共に生活していた祖母が亡くなり、驚いたのと同時に、初めて身近な人間の死を経験して、冷たくなった祖母の遺体が自宅の祖母の部屋に横たわっている間、僕はどうにも落ち着かずに気持ちの整理ができませんでした。
そんななかで葬儀だけはしっかりとしたものをやろうと父が言い出した時、僕は生前、祖母が自分の葬儀は身内だけの小さなものがいいと、言っていたのを思い出して、それを父に言うと、自分にはそんな事は言っていなかったと、不満そうにしていましたが、祖母は母にもそういう話しをしていたみたいで、母の後押しもあり、最終的には家族葬を行うことになりました。父は渋々と家族葬を容認したのですが、自分の母親の最期をお金をかけたしっかりとしたもので送り届けてあげたいと考えていたみたいです。それと祖母が家族葬について、自分にだけ話していなかった事も不満だったようで、しばらくふてくされていました。それでも父は家族葬の段取りをしっかりと立ててくれました。僕と母も祖母の慰霊写真を選んだり、飾る花などを相談して決めました。写真はみんなで伊豆に旅行にいった時の優しく微笑んでいる祖母の写真にして、それとは別に、祖母の写っている写真を集めてミニアルバムのようなものを作りました。その写真を選んでいる間、自分が祖母との思い出の中に入り込んでいるような気分になり、僕の小学校の入学式で校門の前で僕の手を繋いで優しく微笑んでいる祖母の写真を眺めていると、懐かしい温かい気持ちになりましたが、同時に、ちゃんとお礼を言えなかった事が悔やまれて涙がでてきました。
葬儀はこぢんまりとした近親者だけのもので執り行い無事に終了しました。
終わってみて思ったのは、葬儀を行うという事は亡くなった人のためにするという事と、残された人達が自分達の気持ちの整理にもなるという事です。家族葬は一般的な葬儀に比べて自由なので、そのぶん遺族が自分達で考えて執り行わねばなりませんが、僕達の場合は祖母の葬儀をどのようにするか企画する事で、気持ちを整理する事ができて、祖母の死を受け止める事ができました。
29歳男 祖母の葬儀を家族葬で行なって良かった。
